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「英語教師 夏目漱石」(えいごきょうし なつめそうせき)は、小説家に専念する前の夏目漱石の教師としての事跡と日本の英語教育の草創期の様子をさまざまな資料から追った書物である。自らも英語教師であった、川島幸希が執筆し、2000年4月、新潮選書から出版された。 ==内容概要== ; 第1章 漱石の英語力 : 漱石の英語の学習歴は、府立第一中学を英語嫌いで中退した後、英語の授業のない二松学舎を経て、16歳で成立学舎ではじめて本格的な英語教育を受けた。成立学舎で数学や歴史も英語の教科書を使った授業を受けることになり、漱石は英書の多読を行い、英語力をつけ大学予備門に入学する。その1年目の英語の成績は優れたものではなかったことが成績表から示される。19歳の落第が転機となり、その後勉学に精励し、高等中学校卒業まで首席で卒業することとなった。これらの時代に残された漱石の英作文を、現代の東大生の作文力と比較するという試みがなされ、当時の学生の作文力、読解力が現代の学生に比べて高かったことが示され、当時多くの授業の教科書が英語であり、外国人教師に学んだ日本人教師も英語で授業を行ったことがその理由であったと解釈している。さらに高等中学の最終学年でジェームズ・マードックの好意を受け、英語力にみがきをかけ、英語の論文を発表するまでになった。帝国大学文科大学に1887年(明治20年)にできたばかりの英文科にただ一人、入学しジェームズ・メイン・ディクソンの個別指導を受け、英語力はディクソンに『方丈記』の翻訳の依頼をうけるまでになったが、「英文学」の研究という観点では方向性を見出せなかったと自己評価し「兎に角三年勉強して、遂に文学は解らずじまひだつたのです。私の煩悶は第一此処に根ざしてゐたと申し上げても差支ないでしせう。」(『私の個人主義』)と述懐したことが示される。 ; 第2章 漱石の英語教育論 : 漱石の残した英語教育に関する論文(大学3年次の教育学の論文)や、第五高等学校教授時代に九州の尋常中学校の授業を参観した報告書が紹介され、英文和訳に重点を置く授業を評価せず、会話に重点を置く、実用的な英語教育を評価していたことが紹介される。さらに作家となった後の1911年(明治44年)の英語教育論も紹介され、日本の基礎が固まるにつれて英語教育の停滞が始まったことが示される。読解力偏重で会話力に劣る日本の英語教育の問題はこの時代から課題となっていた。 ; 第3章 英語教師夏目金之助(松山・熊本時代) : 大学卒業後、一年半ほど東京高等師範学校、東京専門学校、国民英学会などで講師を務めた後、比較的高待遇で松山中学の嘱託教員となる。一年の間の、松山中学の生徒に対する漱石の評価の変遷が追われる。1896年(明治29年)から1900年(明治33年)の間、熊本の第五高等学校の教授となった。向学心の高い学生たちに漱石は好意をもったことが紹介される。漱石の使った教科書や試験問題が紹介される。 ; 第4章 英語教師夏目金之助(帝大・一高時代) : 留学後、ラフカディオ・ハーンの後任として、帝国大学文科大学講師となり、基礎的な英語力の教育を行った一般講義と英文科学生のための「英文学概説」を講義するが、学生の評価は不評であった。翌年、一般講義としてシェークスピアの『マクベス』を講ずることによって、世間のシェークスピアの関心が高かったこともあって人気を集めた。その後もシェークスピアの作品の講義を行った。教師をやめたがるようになり、朝日新聞に入社する経緯が紹介される。 ; 第5章 作家漱石と英語教育 : 教師を辞した後の正しい英語へのこだわりを示すいくつかのエピソードが紹介される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「英語教師 夏目漱石」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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